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  「トラウマ」という言葉、今では「フェチ」と同じように広く一般化し日常的に軽?いノリで使われている。便利なような、困ったような、、でも学術専門用語には「曖昧なんでもOK、でもってその場雰囲気次第言葉」がないから仕方ないか。
 てな事で今日はchikaのいい加減レベルでの「トラウマ」話(深刻なほんちゃんトラウマなんて誰も他人に話さないよね)。

 幼いchikaにとって(性的な出来事の出会いとして)一番ショックが大きかったのは、親戚の叔父さんの家に隠してあった一冊の古ぼけた雑誌だった。
 そこに何が描かれているかは、幼いchikaに理解できる筈もなかったけれど、それが触れてはいけないまがまがしいものである事だけはすぐに判った。
 それは筋肉たくましい大人の男の人が、ページをめくるごとに毒々しくて綺麗なお姉さんに改造され変身させられる絵物語だった。そこに描かれている人間は、その顔の彫りの深さから「外人」さんである事がすぐに判った。
 
 今から推理して見ると、どうもこの挿し絵を描いた人物は、絵柄から見て歌川大雅氏か石原豪人(林月光)氏あたりではないかと思う。
 chikaが、親戚の子と押し入れの中に入る遊びをしていて偶然見つけたこの雑誌はSM本だったのかも知れない。当時の発行物というより、この家人の誰かが古本屋で仕入れたSM本と考えれば、年代的に見ていろんな辻褄があう。

 どんなトラウマもそうだろうけれど、時間の経過によってその実体は薄れ、己自身によって脚色され記号化されていくのではないかと思う。
 chikaが見た見開き数ページに展開された衝撃のトランス物語は、リーゼント姿のスリムで筋肉質の青年が、同じような「兄貴」の手によって「注射」や「訓練」を施され、最後には水玉模様のドレスを来た化粧の濃い女性に変身させられるのだが、最後にはこの変身美女はイマラチオで「兄貴」に「お返し」をするという物語だ。

 でも実物が、本当にこんな「強制と忍従」の快楽物語だったのかどうか自信はない。勿論、小さい頃に、こんな「読みとり」をした筈もないのだが、とにかく、幼いchikaに与えられた性的トラウマの核は上に上げたような物語のどこかに潜んでいるのだろうと思う。

 十代の後半には、ネットや紙媒体で外国のプロ女装者のおっかけを始めた。男性として平均的な容姿を持つ彼らがオンナに変身する時、彼らが放つ「身をやつすエロチシズム」がたまらなかったからだ。
 でもその行為は、現在の自分と深く関係しているように見えて、実は余り直接的な関係がないような気もする。
 平井賢がカラオケ好きなのは有名な話らしいけど、歌手だからカラオケやっちゃいけないという理由はどこにもない。
 chikaはペニスという男性生殖器官が女性のそれより好きだけれど、その他の部分は男の魅力のない身体より、女性の複雑で優美なボディの方がずっとずっと好きだ。
 で、「そういう自分になりたい」と思ってそれに近づいた。男にも女にも魅力を感じるし、今でも素敵な女装男性に憧れている。

 これらの事は、少しはあのトラウマ(あくまで公表出来るレベルという意味で)と関係があるのだろうか?

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 最近、ある調べものの為にネットに潜っていたら、再び林月光氏の絵と出会って、氏がゲイの視点で絵を描いていた事を再認識した。(発見サイト名はタコシェ、一般流通していない書籍類を扱うお店)
 そしてその途端に、この「トラウマ」を思い出したのである。
 林月光氏の描く男達は既に「オンナ・ONNA」である。「オンナ」という表現が当たらなければ「愛の対象としての生き物」である。
 そう気づくと、もしかしたら幼いchikaにトラウマを与えたあの書き手は林月光氏だったのかも知れない。そう思えて仕方がないのである。

 思えば現在SMfで連載中の目川とリョウの関係もこう言ったトラウマが引き金になっているのかも知れないと考えたりしている。
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 これなんかどうでしょう?林月光氏の作品の一つです。看護婦さんの後ろにいる人物が気になってしかたがないのですが。どう見ても女装中の男性に見えるのですが、、違うのかな?
 絵柄としては「女になりたいなんて不思議だわ。この人の精子って一体どうなっているのかしら?」みたいな。そうだとするとこのM男君のクリニングスの説明が付かないし、、。

PS 上のエントリーにある「トラウマ」絵の男キャラを段々思い出してきました。確か若い頃のショーン・コネリーみたいなバタ臭い顔した青年が、超絶美女に変身させられるんです。
 子ども心にもその落差が凄くショックだったのかも。