おそまきながら「ねこぢる(橋口千代美)」である。別に彼女が自殺した作家だからって特別な思い入れも彼女に対する過大な評価もない。ただ彼女が描く頑固なまでのデスコミュニケーションが引き起こす暴力の数々とクールさが最近の世相に再びシンクロしているようで興味深く感じるのだ。そこで勝手リンクさせてもらったのは「残されたねこぢる」サイト「ねこぢるライス」だ。
 「ねこぢるライス」に掲載されている「 かぶとむしの巻き」がとても好きだ。あらゆる苦悩を通過して達観を得たと思って迷い出た出口、、しかし、そこには呆れる程の「無」が広がっているだけだ。もしその「無」が広すぎしかもその地平に長く立ち会わねばならないなら、その人間は自殺するしかないだろう。けれど31歳という年齢は明らかに若すぎる。